FX自動売買EAは、忙しい方や初心者でも効率的に取引ができる便利なツールです。しかし、EAを選ぶ際に「どれが自分に合っているのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか?
この記事では、MetaTrader 4(MT4)上で動作するEAを中心に、その選び方を分かりやすく解説します。
初心者でも安心して始められるよう、図解を交えながら用語の説明や選び方のポイントを丁寧に紹介。さらに、2つのEAを実際に選定し、選び方の具体例もご紹介します。
この記事を読めば、自分にぴったりのEAを見つけるための手順がわかり、安心してFX自動売買をスタートできるはずです!まずは基本から一緒に学んでいきましょう。
前回の記事はこちらになります。
FX自動売買EAの説明と選び方を解説
目次
FX自動売買EAの評価値の見方と用語の解説
自動売買EAを選ぶときに、評価値を正しく理解することはとても大切です。「難しそう」と感じる方もいるかもしれませんが、基本を押さえれば意外とシンプルです!
EAのバックテストや成績を見るためのポイントを、図解を使って分かりやすく説明します。特に初心者の方が最初にチェックすべき項目を詳しく解説しているので、安心してEA選びができるようになりますよ!
EAの評価値を理解するために知っておきたい用語
EAの評価値には専門的な用語が多く使われていますが、まず基本的な用語を理解することが大切です。以下に、初心者でも分かりやすいように図解を交えた説明を用意しました。

① 通貨ペア
バックテストに使用する通貨ペア。例:USDJPY(米ドル/日本円)、EURUSD(ユーロ/米ドル)など。
② 期間
バックテストで使用した時間足(例:1分足、5分足)とテストした期間。
③ モデル
バックテストで使用するデータの種類で、信ぴょう性を表します。
全ティック > コントロールポイント > 始値のみ の順で信ぴょう性が低下。
④ パラメーター
バックテストに使用するEAの設定値。EA稼働時に同じ設定を適用可能。
⑤ テストバー
バックテストに使用した時間足のローソク足本数。
⑥ モデルティック数
バックテストに使用したティック(価格変動の最小単位)の数。
⑦ モデリング品質
バックテストのティック品質を示します。
全ティックで90%以上が理想的。1分足EAでは25%が最大。
⑧ 不整合チャートエラー
バックテスト中にエラーが発生したローソク足本数。値が「0」であれば正常。
⑨ 初期証拠金
バックテスト開始時に設定する証拠金(資金)。
⑩ スプレッド
バックテストで設定する取引コスト。スプレッド1は0.1pipsを表す。
例:USDJPYは1.5pips、EURUSDは1.5pipsなど。
⑪ 純益
バックテストの総利益から総損失を差し引いた金額。
⑫ 総利益
バックテスト期間中に得た全ての利益の合計額。
⑬ 総損失
バックテスト期間中に被った全ての損失の合計額。
⑭ プロフィットファクター
「総利益 ÷ 総損失」で計算される指標。値が1以上ならトータルで利益が出ている。
⑮ 期待利得
「総損益 ÷ 総取引数」で計算される1トレードあたりの平均利益の期待値。
⑯ 絶対ドローダウン
バックテスト開始時の初期証拠金からの資金減少額。
⑰ 最大ドローダウン
バックテスト期間中の資金減少の最大値。リスク管理で重要な指標。
⑱ 相対ドローダウン
バックテスト期間中の資金減少率の最大値。
⑲ 総取引数
バックテスト期間中の全トレード回数。多いほど信頼性が高い。
⑳ 売りポジション(勝率%)
売り取引の総数とその勝率(%)。
㉑ 買いポジション(勝率%)
買い取引の総数とその勝率(%)。
㉒ 勝率
総取引数に対する勝ちトレードの割合(%)。
㉓ 負率
総取引数に対する負けトレードの割合(%)。
㉔ 最大 勝トレード
勝った取引での最大利益額。
㉕ 最大 敗トレード
負けた取引での最大損失額。
㉖ 平均 勝トレード
勝ちトレードの平均利益額。
㉗ 平均 敗トレード
負けトレードの平均損失額。
㉘ 最大 連勝(金額)
最大連勝数とその総利益額(かっこ内は利益額)。
㉙ 最大 連敗(金額)
最大連敗数とその総損失額(かっこ内は損失額)。
㉚ 最大 連勝(トレード数)
最大連勝回数とその利益額。
㉛ 最大 連敗(トレード数)
最大連敗回数とその損失額。
㉜ 平均 連勝
連勝した平均回数。
㉝ 平均 連敗
連敗した平均回数。
FX自動売買EAの評価値で確認するべき重要なポイント
EAを選ぶ際には、バックテスト結果に表示される評価値の中から、特に重要なポイントをしっかりと理解することが大切です。
ここでは、EAの成績や安定性を判断する上で欠かせない「スプレッド」「プロフィットファクター」「総取引数」「相対ドローダウン」の4つの評価値について、分かりやすく深掘りして解説します。
スプレッド
スプレッドとは、通貨ペアの買値と売値の差のことで、取引を行う際に発生するコストを指します。簡単に言うと「取引手数料」のようなものです。EA(自動売買プログラム)は、多くの取引を繰り返すのが特徴のため、このスプレッドが小さいほどコストを抑えることができ、結果として利益を出しやすくなります。

- ポイント:
- スプレッドは「1」=「0.1pips」を意味します。
- バックテストではスプレッドが固定値で設定されますが、実際の取引では変動することもあるため、実際のスプレッドに近い値を設定するのが重要です。
- 注意点: スプレッドが小さすぎる設定でバックテストを行うと、実際の取引では同じ結果が得られない場合があります。
- 例:
- USDJPYの一般的なスプレッド:1.5pips
- EURUSDの一般的なスプレッド:1.5pips
プロフィットファクター(PF)
プロフィットファクター(PF)とは、「総利益 ÷ 総損失」で計算される、EAの収益性を示す重要な指標です。この値が「1以上」であれば、EAが利益を出していることを意味します。また、値が「1.5以上」であれば、安定した運用が期待できる目安とされています。数値が高いほど収益性が高いEAと判断できます。

- ポイント:
- PFが高い:利益を出しやすいEAである可能性が高い。
- PFが低い:損失が利益を上回るため、長期的な運用には不向き。
- 注意点: 極端に高いPF(例:10以上)は、過去データに最適化されすぎている可能性があるため注意が必要です。
- 例:
- PF=2の場合、1の損失に対して2の利益を得ていることを意味します。
総取引数
バックテスト中にEAが実際に取引を行った回数を「総取引数」といいます。この回数が多ければ多いほど、結果が偶然ではなく、安定した傾向を反映していると考えられます。これを「大数の法則」といい、多くのデータが集まることで信ぴょう性が高まるのです。
- ポイント:
- 短期間のバックテストで取引回数が少ない場合、結果が偶然によるものかもしれません。
- 長期間のテストで取引回数が多いEAは、安定性が高い傾向にあります。
- 注意点:
- 総取引数が少ない場合、EAの運用結果がランダムな値に左右されやすくなります。
- 例:
- バックテスト期間:3年間
- 総取引数:500回以上が信頼できる目安。
相対ドローダウン
バックテスト期間中に、資金がどれだけ減少したかをパーセンテージで示す指標が「相対ドローダウン」です。この値は、バックテスト中で最も大きな資金の減少割合を表しており、資金運用に伴うリスクの大きさを判断するための重要な目安となります。例えば、相対ドローダウンが20%なら、運用中に資金が一時的に20%減少したことを意味します。

- ポイント:
- 低いドローダウン:リスクが少なく、安定した運用が可能。
- 高いドローダウン:一時的に大きな損失が発生する可能性があり、リスクが高い。
- 理想的な値: 相対ドローダウンは30%以下が目安。50%以上の場合はリスクが高いため注意が必要です。
- 例:
- 資金100万円で相対ドローダウンが20%の場合、最大損失は20万円となります。
EAを選ぶ際には、「スプレッド」「プロフィットファクター」「総取引数」「相対ドローダウン」を中心に評価値を確認することが重要です。
これらの指標を理解することで、リスクを抑えつつ安定した運用が期待できるEAを見つける手助けになります。
実際にFX自動売買EAを選んでみましょう
FX自動売買EAを選ぶ際には、これまで学んだ評価値や選び方のポイントを活用することが大切です。特に初心者の方は、最初に無料EAを試してみるのがおすすめです。
無料EAなら、初期費用をかけずに自動売買の仕組みを学ぶことができます。
今回は、日本最大級の無料EA提供サイト、EA-BANKのEAを2つ選んで比較し、初心者でも取り組みやすい選び方の手順を解説します。
これを活用して、自分の運用スタイルに合ったEAを見つけてみましょう。
それでは、実際の選び方の手順を見ていきます!
EA選びの手順
無料EAで試してみる
初めてEAを使う場合は、リスクを抑えられる無料EAがおすすめです。EA-BANKでは、100種類以上の無料EAが提供されており、初心者向けの解説も充実しています。
運用目的やスタイルに合ったEAを選ぶ
自分の取引スタイルやリスク許容度に合ったEAを選びましょう。EAには以下のような運用スタイルがあります。

- スキャルピング:短期間で多くの取引を繰り返す。
- デイトレード:1日の中で取引を完了する。
- スイングトレード:数日から数週間かけて取引を行う。
初心者には、比較的リスクの低いデイトレード型のEAがおすすめです。
今回は、日本円を含む物と取引のスタイルを、デイトレード型と、スイングトレード型に絞ってみました。
評価値を確認してバックテスト結果を比較する
EAを選ぶ際には、バックテスト結果をしっかり確認し、評価値を比較することが重要です。以下のポイントを中心にチェックしてみましょう。
- プロフィットファクター(PF)
「総利益 ÷ 総損失」で計算されるEAの収益性を示す指標です。1.5以上が安定した運用の目安とされています。 - 相対ドローダウン
バックテスト中で最も大きな資金の減少割合を表しており、資金運用に伴うリスクの大きさを判断するための重要な目安となります。 - 総取引数
バックテスト期間中の取引回数を確認しましょう。取引回数が多いほど信頼性が高まり、結果が偶然によるものではないことが分かります。
これらの評価値を確認し、複数のEAを比較することで、自分の目的やリスク許容度に合ったEAを見つけることができます。
今回は二つのEAの評価値を見比べてみました。


評価値を表にしたので、比較していきましょう。
通貨ペア | 総取引数 | スプレッド | 期間 | プロフィットファクタ | 相対ドローダウン | |
A | USDJPY | 2505 | 15 | 2014/07-2024/07 | 1.57 | 4.18% |
B | USDJPY | 1701 | 15 | 2014/06-2024/05 | 1.39 | 7.68% |
- 通貨ペア
ドル円は流動性が高く、安定した値動きが特徴のため、初心者から経験者まで幅広いトレーダーに適しています。
通貨ペアはA,BともにUSDJPYになりますのでA,BのEAは初めてEAを稼働するにはとてもいい選択になります。
- 総取引数と期間
まず、Aのデータを見てみましょう。バックテストの期間は「2014年7月から2024年7月」となっており、約10年間の運用データです。
これを月単位に換算すると「120ヶ月」となります。この期間中の総取引数は「2505回」なので、1ヶ月あたりの取引回数を計算すると「約21回」になります。
次に、Bのデータも同様に計算してみます。
Bのバックテスト期間と総取引数から、1ヶ月あたりの取引回数は「約14回」となります。
一般的に、EAはバックテストの取引回数が多いほど安定性が高いとされています。
この比較では、月あたりの取引回数が多いAの方が、安定性において優れていると言えるでしょう。
- スプレッド
AとBのスプレッドはどちらも「15」となっています。これは「1.5pips」を意味しており、一般的には許容範囲内です。
例えば、海外FX口座のXMが提供するKIWAMI極口座ではスプレッドが「0.7pips」と、さらに低く設定されています。
スプレッドは取引時の手数料やコストに相当するもので、数値が低いほど利益を出しやすくなります。
この場合、バックテストで設定されているスプレッド(1.5pips)が実際の取引条件よりも高いため、XMのMT4でEAを稼働させる方が、実際にはさらに良い利益を得られる可能性があります。
- プロフィットファクター
プロフィットファクターは、どちらのEAも1を超えており、利益が出ていることが分かります。
Aは「1.57」、Bは「1.39」となっており、この数値が高いほど収益性が高いことを意味します。そのため、Aの方がBよりも優れた収益性を持つEAと言えます。 - 相対ドローダウン
相対ドローダウンについて見てみると、Aは「4.18%」、Bは「7.68%」となっています。どちらも非常に低い数値であり、優秀な結果と言えます。
このデータは10年間のバックテストに基づいているため、どちらのEAも安定した運用が可能であることが分かります。相対ドローダウンの値は低いほどリスクが小さいことを意味します。
そのため、今回の比較ではAの方がBよりもリスク管理に優れていることが確認できます
- A、BどちらのEAを選択するべきでか?
総合的に見てAのEAがBのEAより優れていることが分かりました。
特に、プロフィットファクターや相対ドローダウン、月あたりの取引回数といった評価値で、安定性と収益性のバランスが取れている点がAの大きな魅力です。
EAを選ぶ際には、今回取り上げた評価値をしっかり確認することが重要です。
ただし、スプレッドやバックテスト結果だけでなく、運用スタイルやリスク許容度に合ったEAを選ぶことも大切です。
また、今回は重点を置かなかった他の評価値やパラメーターについても理解を深めることで、さらに自分に合ったEAを見つけやすくなるでしょう。
まとめ
FX自動売買EAは、初心者の方でも簡単に取引を始められる便利なツールです。ただし、適切なEAを選ぶことが成功への第一歩となります。本記事では、EAを選ぶ際に注目すべきポイントを解説しました。
- スプレッドやプロフィットファクターといった評価値を確認する。
- 総取引数や相対ドローダウンなどで、EAの安定性やリスクを判断する。
- 無料で使えるEA提供サイトを活用して、実際に試してみる。
これらを意識することで、自分に合ったEAを見つけやすくなります。特に、初心者の方は無料EAから始めて、少しずつ運用に慣れていくのがおすすめです。
EAを選ぶ際には、焦らず丁寧に比較検討することが大切です。自分に合ったEAを見つけ、自動売買で楽しく、効率的に取引を始めてみましょう!
次回の記事はこちら。
VPSとは?VPSの説明とプランの選び方