ボリンジャーバンドとは、チャート上に表示される3本の線を使って「価格が行きすぎているかどうか」を視覚的に判断できる、非常に人気のあるテクニカル指標です。
FXの世界では、初心者からプロのトレーダーまで幅広く利用されている定番のインジケーターであり、裁量トレードはもちろん、自動売買EAのロジックにもよく組み込まれています。
最大の魅力は、レンジ相場での反発ポイントがわかりやすく、逆張りトレードに活用しやすいこと。
また、ボリンジャーバンドの広がりや収縮を見ることで、価格の勢いや相場の転換点も判断できるため、トレンド相場でも有効に使える柔軟性があるのも特徴です。
この記事では、
- ボリンジャーバンドの基本的な仕組み
- 設定方法とチャートでの見方
- 実際のエントリー方法や注意点
などをわかりやすく丁寧に解説していきます。
「テクニカル分析を使ってトレードの精度を上げたい」
「自動売買EAに活かせる指標を学びたい」
そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
こちらから他のインジケータの詳しい説明もあるのでご覧下さい!
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FXのテクニカル ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドとは、米国のテクニカルアナリスト「ジョン・ボリンジャー氏」によって開発された、価格の変動範囲と勢い(ボラティリティ)を視覚的にとらえるための指標です。
FXや株式など、あらゆる金融市場で使用されており、
「相場が今、行きすぎているのか? それとも収まりつつあるのか?」を判断する材料として、多くのトレーダーに支持されています。
ボリンジャーバンドの基本構造
ボリンジャーバンドは、3本のラインで構成されています。
- ミドルバンド(中央線):単純移動平均線(SMA)を使い、価格の平均値を表示します。
よく使われる期間は「20期間」ですが、好みに応じて調整可能です。 - アッパーバンド(+2σ):ミドルバンドからプラス2つ分の標準偏差を上に加えたラインです。
価格がこのラインにタッチすると「買われすぎ」と判断されることがあります。 - ロワーバンド(-2σ):ミドルバンドからマイナス2つ分の標準偏差を下に引いたライン。
「売られすぎ」のサインとして注目されることが多いです。
ボリンジャーバンドの「±2σ(シグマ)」とは、設定した期間の価格データのおよそ95.4%が収まる範囲を表しています。
たとえば、期間20に設定している場合は、直近20本のローソク足の中で、ほとんどの価格が±2σの内側で動いているという意味です。
もし価格がこのバンドの外に飛び出したら、「行きすぎた動き=一時的に異常」と判断されることが多く、そのタイミングで反発を狙う逆張りトレードのサインとして活用されます。
ボリンジャーバンドはどんなときに使える?
ボリンジャーバンドの大きな魅力は、相場の状況に応じて“逆張り”にも“順張り”にも使えることです。
レンジ相場での逆張り
価格が±2σにタッチした時、「反発するかもしれない」と予測して逆方向にエントリーします。
この使い方は、ボリンジャーバンドでもっともよく知られている手法です。
トレンド相場での順張り(バンドウォーク)
強いトレンドが出ているときは、価格が上のバンドに沿って上昇し続ける(または下のバンドに沿って下落し続ける)ことがあります。
この現象は「バンドウォーク」と呼ばれ、トレンド継続のサインとされています。
ボラティリティの変化から相場転換を予測
バンドがギュッと収縮してきたときは、「そろそろ大きな動きが来るかも?」というシグナルとしても使われます。
これは「スクイーズ(収縮)→ エクスパンション(拡大)」という現象で、EAロジックにもよく取り入れられるパターンです。
裁量でもEAでも使いやすい
ボリンジャーバンドは、視覚的にとてもわかりやすく、使い方もシンプルなため、FX初心者でもすぐに実践に取り入れやすいインジケーターです。
たとえば、バンドの端に価格がタッチしたときは「反発のサインかも?」と考えたり、バンドを大きく突き抜けた場合には「勢いが強いからトレンド継続かも?」と判断することができます。
こうした“シグナルの見つけやすさが、ボリンジャーバンドが人気の理由のひとつです。
また、逆張り(反発狙い)にも、順張り(トレンドフォロー)にも使えるという柔軟性の高さも大きな魅力。
裁量トレードでは、状況に応じて「反発するか?ブレイクするか?」を見極めながら戦略を立てることができるため、経験を積めば積むほど使いこなしの幅が広がります。
さらに、EA(自動売買)との相性も非常に良い指標です。
ボリンジャーバンドの「価格が2σを超えたらショート」「バンドの幅が急拡大したら順張りエントリー」など、
ルール化しやすいシグナルが多いため、ロジック構築に適しており、安定性のある戦略を作りやすいのが特徴です。
実際に、EA開発者やバックテストを重ねるトレーダーの間でも、「ボリンジャーバンドだけで利益を出すEA」や「他のテクニカルと組み合わせた応用戦略」など、幅広く活用されています。
ボリンジャーバンドの設定方法
ボリンジャーバンドは、MT4やTradingViewなど、ほとんどのチャートツールに標準搭載されており、初心者でも簡単に設定できます。
ここでは、人気のチャートツール「TradingView」を例に、設定手順をご紹介します。
TradingViewでのボリンジャーバンド設定手順
① チャートを開いたら、上部メニューの「インジケーター」ボタンをクリック
画面上部中央にあるインジケーターボタンを押します。

② 検索窓に「ボリンジャーバンド」または「BB」と入力
候補が表示されるので、「Bollinger Bands(ボリンジャーバンド)」を選択。

③ チャート上に3本のバンドが表示される
ミドルバンド(中央線)と、上下のバンド(+2σ、-2σ)が追加されます。

④ 設定のカスタマイズ(オプション)
チャート上のインジケーターをクリックし設定をクリックすると、パラメーターを変更できます。
- Length(期間):デフォルトは20。短期トレードなら10~14、長期なら25~50に調整も可。
- Standard Deviation(σ幅):デフォルトは「2」でOK。値を変更すればバンドの広がりを調整可能。
- Source(元となる価格):通常は「Close(終値)」のままでOKです。

よく使われる設定例
用途 | 期間(Length) | σ幅(Standard Deviation) |
---|---|---|
一般的な設定 | 20 | 2 |
短期トレード向け | 10~14 | 1.5〜2 |
長期トレンド検証 | 25~50 | 2 |
ボリンジャーバンドの見方
ボリンジャーバンドは、価格の「行きすぎ」や「相場の勢い」を判断するのに非常に役立つテクニカル指標です。
3本のバンドを見ながら、「今はレンジ相場か?トレンドが発生しているのか?」を読み取ることができ、裁量トレードはもちろん、自動売買EAのロジック判断にも活用されています。
基本となる3本のラインの意味
- ミドルバンド(中央線):価格の平均値を表す「移動平均線」(通常は20期間)。価格がこの線の上にあれば上昇基調、下にあれば下降基調と見ることができます。
- 上バンド(+2σ):移動平均線から上に標準偏差(σ)を2つ分離れたライン。ここに近づくと「買われすぎ」と判断されることが多いです。
- 下バンド(-2σ):移動平均線から下に2σ離れたライン。「売られすぎ」のサインとして注目されます。
バンドが横ばい → レンジ相場(逆張りに有効)
上バンドと下バンドがほぼ平行かつ、バンド幅が一定のままなら相場は横ばい=レンジ状態です。
この場合、価格は上下のバンド内を行ったり来たりする傾向があり、
- 上バンドにタッチ → 反発して下落する可能性(売りサイン)
- 下バンドにタッチ → 反発して上昇する可能性(買いサイン)
というように、「バンドで反発する動き」を狙った逆張りエントリーが有効になります。
注意点:価格がバンドを飛び出してもすぐに戻らないケースもあるので、ローソク足の反発形(例:ピンバーや包み足)などのサインを確認してから入ると精度が上がります。
バンドが広がっている → トレンド相場(順張りに有効)
バンドの幅が急に広がってきたら、相場に強い勢い(ボラティリティ)が出てきた証拠です。
このときの特徴的な動きが「バンドウォーク」と呼ばれる現象です。
- 価格が上バンドに沿って上昇し続ける → 強い上昇トレンド
- 価格が下バンドに沿って下落し続ける → 強い下落トレンド
このようなときは、逆張りせずに順張りでエントリーするのがセオリーです。
ポイント:「バンドに沿っている=反転しにくい」という意味なので、「行きすぎ」ではなく「勢いが続いている」と解釈するのが正解です。
バンドが収縮 → ブレイクの兆し(要警戒)
バンドがギュッと縮まってきたときは、「相場のエネルギーが溜まっている」状態。
この現象を「スクイーズ」と呼び、次に大きなトレンドが発生する前兆と考えられます。
- スクイーズ後に上抜け → 上昇トレンドが始まる可能性
- スクイーズ後に下抜け → 下落トレンドのスタートになることも
この局面では、バンドの広がり始めやローソク足の方向性、出来高、他のインジケーターと合わせて判断することが大切です。
「バンドの外=チャンス」とは限らない!
初心者がやりがちなミスは、「バンドに触れたら即反転」と思い込んでしまうこと。
特に強いトレンド中は、価格が何度もバンドの外側に出続けることもあります(=バンドウォーク)。
そのため、エントリー前には:
- ローソク足の反転シグナル
- RSIやMACDなど他のテクニカル指標の確認
- サポートライン・レジスタンスラインとの重なり
といった複数の要素を根拠にすることで、より精度の高い判断ができるようになります。
ボリンジャーバンドを使った実際のエントリー例

ボリンジャーバンドは、相場が今どのような状態にあるか(レンジ or トレンド)を判断するのに非常に役立つ指標です。そして、その見方を応用すれば、トレードのエントリーや利確・損切りのタイミングも明確になります。
ここでは、実際のトレードでよく使われる2つのパターンを紹介しながら、どんな場面で、どうエントリーすればいいのかを解説していきます。
バンド反発を狙った【逆張りエントリー】
このパターンは、価格がボリンジャーバンドの外(±2σ)にタッチまたははみ出したあとに反発する動きを狙った、レンジ相場向けの戦略です。
エントリー例(買いの場合)
- 価格が下バンド(-2σ)にタッチ or 少し突き抜けたタイミング
- RSIで「30以下」など売られすぎのサインを確認
- ローソク足が反転の形(例:ピンバー、陽線包み足など)を作ったらエントリー
ポジション
- エントリー:反転足が確定したタイミング
- 損切り:直近安値の下、ヒゲの少し外側
- 利確:ミドルバンド、または上バンド付近
ポイント
- バンド内に戻ってくる動きを狙うイメージ
- ボラティリティが低い=レンジが続いているときがチャンス
- トレンド中にはこの戦略は通用しにくいので注意
バンドウォークを狙った【順張りエントリー】
強いトレンドが出ているときは、**価格がバンドの外(+2σまたは-2σ)に張り付くように動く「バンドウォーク」という状態になります。
このときは、逆張りせずに流れに乗る順張りエントリーが効果的です。
エントリー例(買いの場合)
- 価格が上バンド(+2σ)にタッチしながら上昇し続けている
- 一度軽く押し目を作ったあと、再び上昇
- バンドを抜けて陽線が出たらエントリー
ポジション
- エントリー:押し目後の再上昇タイミング
- 損切り:押し目の安値の少し下
- 利確:トレンドライン上 or トレーリングストップで利益を伸ばす
ポイント
- ボリンジャーバンドの形が「開いてきている(拡大している)」ときが目安
- 方向性が明確なときにのみ活用し、レンジでは避けるべきパターン
より精度を高めるために
どちらの戦略でも、「ボリンジャーバンドだけで判断しない」のが成功のカギです。
以下のような他の要素を組み合わせると、エントリーの信頼性がグッと高まります。
- RSI・MACDなどのオシレーター系
- 水平線・キリ番・サポレジライン
- ローソク足の形(ピンバー・包み足など)
- マルチタイムフレーム(上位足で方向、下位足でタイミング)
自動売買EAの場合でも同じです。
EAロジックでは、「バンド外に価格が出た」「RSIが売られすぎ」などの複数の条件がそろったときに自動でエントリーするように設定することで、勝率や安定性を高めることができます。
また、これは裁量トレードをする方にとっても大切な考え方です。
たとえば、「ボリンジャーバンドの下限に触れたから買う」といった単独のシグナルだけで判断するのではなく、
- RSIなどのテクニカルで「売られすぎ」の確認
- 水平線やキリ番で「止まりやすい場所か」
- ローソク足の形で「反発のサインが出ているか」
など、いくつかの根拠を重ねて判断することが成功のカギになります。
初心者のうちは、「このサインが出たらすぐ買う」ではなく、条件が複数そろったときに自信を持ってエントリーするという意識を持つことで、無駄なトレードを減らし、負けを抑えることができるようになりますよ。
ボリンジャーバンドを使ったトレードの注意点

ボリンジャーバンドは、逆張り・順張りのどちらにも使える万能なインジケーターとして多くのトレーダーに愛用されています。
しかし、便利な一方で、使い方を間違えると損失が出やすくなる場面もあります。
ここでは、これからFXや自動売買を始める方が気をつけたいポイントを、できるだけわかりやすく解説していきます。
「バンドに触れたらエントリー」は危険!反発サインの確認が必須
ボリンジャーバンドを見ていると、つい「バンドに触れた=反発しそう」と考えてしまいがちです。
ですが、実際にはそのままトレンドが続いて、バンドの外側を“這うように”動くこともよくあります。これを「バンドウォーク」と言います。
たとえば、上バンドに触れたから売りで入ったら、どんどん価格が上がって損失が膨らむ…というパターンが典型的な失敗です。
初心者向け対策:
- ボリンジャーバンドに触れたら「エントリーの準備」段階と考える
- 実際のエントリーは、「反転のサイン」が出てから行うのが基本
(例:ピンバー、包み足、長いヒゲなど)
相場が「レンジ」か「トレンド」かを見極めよう
ボリンジャーバンドは、相場の状況によって使い方が変わるインジケーターです。
そのため、「いつも同じ使い方をしている」と、うまくいかないことがあります。
- レンジ相場のとき:上下のバンドに反発して動く → 逆張りが有効
- トレンド相場のとき:バンドを抜けてそのまま伸びる → 順張りが有効
この見極めができないと、「逆張りが効かない相場で何度も損切り」という事態に…。
初心者向け対策:
- バンドの幅が狭くて横ばい → レンジ相場の可能性
- バンドの幅が広がっている → トレンド相場の可能性
- 上位足(1時間足や日足)で相場全体の流れも確認する
短期足(1分足や5分足)はノイズが多いので注意!
MT4やトレーディングビューでチャートを見ると、つい細かい動きが気になってしまいますが、1分足や5分足ではダマシの動き(見せかけの反発・ブレイク)が非常に多いです。
例えば、下バンドにタッチした瞬間に買いを入れても、そのままズルズル下げていくような展開も珍しくありません。
初心者向け対策:
- 慣れるまでは15分足や1時間足など、比較的落ち着いた時間足で判断
- 上位足で相場の方向性を見たうえで、下位足でタイミングを測るのがおすすめ(マルチタイムフレーム分析)
「シグナル1つで判断」は失敗のもと!
「バンドに触れた」だけ、「RSIが30以下」だけ、「長いヒゲが出た」だけなど、1つの根拠だけでエントリーするのはとても危険です。
エントリーの精度を高めるには、複数の条件がそろったときにだけエントリーすることが大切です。
たとえばこんな組み合わせ:
- 下バンドタッチ(ボリンジャーバンド)
- RSIが30以下(売られすぎ)
- ピンバーなどの反発ローソク足出現
- 日足のサポートラインに近い価格帯
このように根拠が重なると、「なんとなく入ってみた」よりも信頼性の高いトレードができます。
感情に流されず、ルール通りにトレードする
ボリンジャーバンドを見ていると、「ここで入れば勝てそう!」と気持ちが先走ることもあります。
しかし、感情的なトレードは失敗のもとです。
特に初心者は、「今すぐ利益を出したい」「取り返したい」と焦ってしまうことが多く、エントリーや損切りのルールを無視してしまいがちです。
初心者向け対策:
- エントリーと損切り・利確のルールを事前に決めておく
- チャートを見ながら、自分の判断をノートにメモする癖をつける
- 感情が入ってきたら、一度チャートから離れる勇気を持つ
ボリンジャーバンド(注意点の要点)
注意点 | 説明 |
---|---|
反発確定前のエントリーに注意 | タッチ=即エントリーはNG。反発サインを確認しよう |
相場の状況で使い方を変える | レンジは逆張り、トレンドは順張りで活用 |
短期足はダマシが多い | 初心者は15分足以上でトレードするのがおすすめ |
根拠を重ねることが大事 | ボリバンだけでなく、RSIやローソク足と組み合わせよう |
感情に流されない | ルールを守って一貫性のあるトレードを心がけよう |
ボリンジャーバンドは、しっかりと相場を見極めて正しく使えば、とても強力なトレードツールになります。
最初は失敗しても大丈夫。上記の注意点を意識することで、徐々に精度の高いトレードができるようになりますよ!
まとめ
ボリンジャーバンドは、FXの相場を視覚的に判断できる便利なテクニカル指標です。
設定もシンプルで初心者でも使いやすく、レンジ相場では反発を狙う逆張り、トレンド相場では勢いに乗る順張りと、幅広い場面で活用できます。
また、RSIや移動平均線など他のインジケーターと組み合わせることで、エントリーや決済の精度をさらに高めることも可能です。
自動売買EAにも多く使われており、裁量トレードでもEAでも応用しやすいのが魅力です。
まずは、今回紹介した基本的な見方や使い方をもとに、自分のチャートでボリンジャーバンドを表示してみましょう。
繰り返し使っていくことで、少しずつボリンジャーバンドの使いどころが見えてくるはずです。
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