FXを始めると必ず目にする「スプレッド」。
でも、なんとなく「数値の差」くらいに思っていませんか?
実はこのスプレッド、トレードで得られる利益に直結する重要なコストなんです。特に、短期売買を繰り返すスキャルピングや、自動売買EAを使った取引ではスプレッドの差が収益に大きく影響します。
たとえ勝率の高いEAでも、スプレッドが広ければ思ったほど利益が残らない…ということも。
この記事では、FXの基本であるスプレッドの意味や仕組み、そしてスプレッドが取引にどんな影響を与えるのかを初心者の方にもわかりやすく解説します。
FXのスプレッドの仕組み

FXにおける「スプレッド」とは、通貨の買値(ASK)と売値(BID)の差のことです。たとえば、USD/JPYの為替レートが「買値:150.002 / 売値:150.000」と表示されていた場合、その差「0.2銭(=0.2pips)」がスプレッドになります。
このスプレッドは、トレーダーが取引するたびにかかる、実質的なコストです。ポジションを持った直後に少しマイナスからスタートするのは、このスプレッド分が引かれているからです。
スプレッドは証券会社の利益になる
FXでは「取引手数料無料」と言われることが多いですが、実際にはスプレッドが証券会社の利益となっています。つまり、私たちが払っている取引コストは、このスプレッドという形で発生しているのです。
そのため、スプレッドが広いほどコストが高くなり、私たちの利益は削られます。逆に、スプレッドが狭ければ狭いほど、コストが少なく、利益を残しやすくなるというわけです。
スプレッドが低いほどトレードに有利
- 少ない値動きでも利益が出しやすい
- 長期的に見て、コストを大きく削減できる
- 自動売買EAやスキャルピングのように、取引回数が多い手法に向いている
特にEAでは、毎日のように複数回の売買を行うため、スプレッドがわずかに広がるだけで、収益に大きな差が出ることもあります。
スプレッドは常に一定ではない
また、スプレッドには「固定スプレッド」と「変動スプレッド」の2種類があります。多くのFX会社では変動スプレッドが採用されており、市場の状況によって広がったり狭まったりします。
たとえば、経済指標の発表時や市場の流動性が低い時間帯(早朝・深夜など)には、一時的にスプレッドが大きく広がることもあるので注意が必要です。
FXのスプレッドの変動による注意

FXのスプレッドは常に一定ではありません。多くのFX会社では「変動スプレッド」を採用しており、相場の状況によってスプレッドが広がったり狭まったりします。 これは、取引する時間帯や市場の動きによって発生する自然な現象です。
スプレッドが広がる主なタイミング
- 重要な経済指標の発表時(例:米雇用統計、FOMCなど)
- 要人発言や突発的な地政学リスクが出たとき
- 早朝や深夜など市場参加者が少ない時間帯(流動性が低い)
これらのタイミングでは、市場が一時的に不安定になり、FX会社はリスクを回避するためにスプレッドを広げる傾向があります。
実際に起きたスプレッド急拡大の事例
たとえば、2015年のスイスフランショックでは、スイス中銀が突然為替介入を終了したことで市場がパニックになり、一部の通貨ペアでスプレッドが通常の10倍以上に拡大しました。
また、2020年の新型コロナウイルス感染拡大初期も、相場の急変でスプレッドが一時的に広がり、注文が通りにくくなるなどの影響が出ました。
スプレッド変動にどう備える?
初心者の方は、スプレッドが広がりやすい時間帯やイベント前後には取引を控えるのが安全です。
また、スキャルピングやEAを使った取引では、スプレッド拡大時に予想外の損失が出ることもあるため注意が必要です。
特に自動売買EAは、事前にスプレッドの上限設定(スリッページ許容など)をしておくことで、異常時の無理な取引を避けられる場合があります。
スプレッドの変動は避けられないものですが、事前に「広がりやすいタイミング」と「その対処法」を知っておくことで、無駄な損失を防ぎ、より安定した取引が可能になります。スプレッドは小さなコストに見えますが、積み重なれば大きな差につながる重要なポイントです。
FXのスプレッドは片道分?それとも往復?

FXを始めると、「スプレッドは片道だけ」と説明されることがあります。
これはある意味正しいのですが、実際の取引では往復でスプレッドの影響を受けることもあるため、正しく理解しておくことが大切です。
スプレッドは基本「片道分のコスト」
スプレッドとは、通貨を買う価格(Ask)と売る価格(Bid)の差です。
たとえば、ドル円のレートが「買値 150.002 / 売値 150.000」だと、スプレッドは 0.2pips(=0.002円) になります。
このとき、買った瞬間に売ると必ずスプレッド分の損失が出るため、ポジションは0.2pipsの含み損からスタートします。
このように、取引開始時に1回だけ発生するため、「片道分」と説明されるのです。
でも実際には“往復で影響”を受けるケースも
FXの多くの業者では「変動スプレッド制」を採用しており、エントリー時と決済時でスプレッドが変わることがあります。
たとえば以下のようなケース:
- 150.000円で買って、150.100円で売る予定だったとします
- エントリー時のスプレッドは 0.2pips(0.002円)
- 決済時、スプレッドが 0.5pips(0.005円) に広がっていた場合
このとき、売値は150.095円になるので、
→ 150.095 − 150.000 = +0.95pips の利益になります。
本来の利益は1.0pipsのはずなのに、決済時のスプレッドが広がったために利益が減ってしまったことになります。
スプレッドは片道分と理解しつつ、実質的には往復の影響も考慮しよう
- スプレッドは原則、ポジションを持った時に発生するコスト(片道)
- ただし、決済時のスプレッドが広がると利益が削られる=往復で影響が出ることがある
- 特に重要指標の発表時や相場の急変時は、スプレッドが広がりやすい
初めてFXに触れる方へのアドバイス
スプレッドは小さな差に見えても、繰り返す取引では大きなコスト差になります。
特に自動売買(EA)やスキャルピングなど、短期で何度も取引を行う戦略では、スプレッドの影響は無視できません。
「片道だけ」と安心せず、決済時にもスプレッドが変動する可能性があるという点を覚えておくと、より安定した取引ができるようになりますよ。
海外FXと国内FXのスプレッドの違い

スプレッドは、国内FXと海外FXでは差があります。
スプレッドに関しては全体的に国内の方が優遇されています。
ここでは海外FXと国内FXのスプレッドの違いを説明させて頂きます。
国内FXのスプレッドの特徴
- とても狭いスプレッド
たとえば、ドル円(USD/JPY)では**0.2銭(=0.2pips)**程度と、非常にコストが安くなっています。
そのため、取引回数が多い人や短期売買をしたい人に向いているといえます。 - スプレッドが固定されていることが多い
多くの国内FX業者では「原則固定スプレッド」が採用されており、相場が安定していればコストが変わらず、安心して取引できます。 - 日本の金融庁に登録されているため、安全性が高い
信頼性の面でも安心して使えるのが国内FX業者の魅力です。
海外FXのスプレッドの特徴
- 国内と比べると広め
一般的に、海外FXのスプレッドは1.0〜2.0pips程度とやや広め。
そのぶん、入金ボーナスや高レバレッジ、ゼロカット制度などの特典が充実しています。 - スプレッドが変動する(変動スプレッド)
海外業者では、相場の状況に応じてスプレッドが広がる「変動制」が基本です。
特に、経済指標の発表時や流動性の低い時間帯には、スプレッドが大きく開くこともあるので注意が必要です。 - ゼロカット制度がある業者が多い
相場が急変しても、口座残高がマイナスにならずにリスクを限定できるのは海外FXならではの安心ポイントです。
スプレッド以外にも見るべきポイント
初心者の方はつい「スプレッドが狭い=お得」と思いがちですが、業者選びでは他にも見るべきポイントがあります
比較項目 | 国内FX | 海外FX |
---|---|---|
スプレッド | 非常に狭い(例:0.2pips) | やや広め(例:1.0〜2.0pips) |
安定性 | 原則固定スプレッドで安定 | 変動スプレッドで相場に左右されやすい |
ゼロカット制度 | 原則なし | ほとんどの業者にあり |
入金ボーナス | なし | 豊富にあり |
安全性 | 日本の金融庁の監督あり | 海外ライセンスによりまちまち |
レバレッジ | 最大25倍 | 500〜1000倍も可能 |
FXのスプレッドの計算方法

FXにおいてスプレッドは、取引コストに直結する重要な要素です。
特に短期売買や自動売買(EA)を行う場合、スプレッドの大小が収益に大きな影響を与えることもあります。
でも「実際のところ、スプレッドってどうやって計算されているの?」と疑問に思う方も多いはず。
このパートでは、スプレッドの基本的な計算方法や、通貨ペアごとに異なるpips(ピップス)の扱い方、さらには取引数量によって変わる実際のコスト金額まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
スプレッドの計算をしっかり理解すれば、自分がどれだけのコストを払っているのかが明確になり、より戦略的に取引を進めることができるようになりますよ。
スプレッドの基本計算式
まず、スプレッドはとてもシンプルな計算式で求めることができます。
スプレッド = 買値(Ask) − 売値(Bid)
この差が、あなたが支払う事実上の取引コストになります。
では、実際に通貨ペアごとの例を使って見ていきましょう。
実例①:ドル円(USD/JPY)の場合
ドル円など、円が含まれる通貨ペアでは、1pips = 0.01円(=1銭)と定義されています。
- 買値(Ask):150.002
- 売値(Bid):150.000
このときのスプレッドは:
150.002 − 150.000 = 0.002円(=0.2銭)
→ 0.2pipsのスプレッド
この差は非常に小さいですが、取引数量によってコストは変わります。
例:1万通貨で取引した場合
→ 0.002円 × 10,000通貨 = 20円のコスト
つまり、この取引では20円分のコストが最初に発生していることになります。
実例②:ユーロドル(EUR/USD)の場合
ユーロドルのような小数点第4位まで表示される通貨ペアでは、
1pips = 0.0001ドルとして計算します。
- 買値(Ask):1.1052
- 売値(Bid):1.1050
スプレッドの計算は:
1.1052 − 1.1050 = 0.0002ドル
→ 2pipsのスプレッド
仮に1万通貨の取引をした場合、コストは:
0.0002ドル × 10,000通貨 = 2ドルのコスト
※この金額は日本円換算されて引かれるため、通貨ペアによって多少差があります。
pipsとは?
pips(ピップス)は、為替レートの最小単位のこと。
通貨ペアごとに以下のように違います。
通貨ペア | 1pipsの値 | 表示例 |
---|---|---|
USD/JPY(ドル円) | 0.01円(1銭) | 150.00 → 150.01 = +1pips |
EUR/USD | 0.0001ドル | 1.1050 → 1.1051 = +1pips |
この“pips”を使うことで、どんな通貨ペアでも共通の単位でスプレッドを比較できるようになっています。
スプレッド計算の基本を押さえておこう
- スプレッドは「買値 − 売値」で計算
- 円絡みは「0.01円=1pips」、ドル絡みは「0.0001ドル=1pips」
- 実際のコストは「スプレッド × 取引数量」で簡単に求められる
スプレッドの仕組みと計算方法を理解しておけば、
「どのFX会社がコスト面で有利か?」や「EA運用時の利益への影響」も冷静に判断できるようになりますよ!
まとめ
FXのスプレッドは、一見すると専門的で難しく感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルです。
スプレッド=買値と売値の差、つまり見えにくい「取引コスト」。この仕組みを理解しておくことは、トレーダーにとって基本中の基本です。
今回ご紹介したように、
- スプレッドは通貨を売買するたびに発生するコスト
- 海外FXと国内FXでは、スプレッドの仕組みや広さに違いがある
- 計算方法を知っておけば、自分のトレードにかかる費用が明確になる
というポイントを押さえることで、FXをより有利に、そして無駄なく進められるようになります。
特に、自動売買(EA)などでは、スプレッドのわずかな差がパフォーマンスに大きな影響を与えることもあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
これからFXを始める方も、すでに取引を始めている方も、「どんなときに、どのくらいのコストがかかるのか?」を意識するだけで、ひとつ上のトレード戦略を立てられるようになります。
今後は実際の取引やEA運用時に、ぜひスプレッドをしっかりチェックしてみてくださいね!
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